人事労務ニュース

文書作成日:2023/05/23

36協定を遵守するための実務上の注意点

 「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)を年度単位で締結されている企業が多くあるかと思います。新年度がスタートしていることから、以下では36協定を遵守するための実務上の注意点をとり上げます。

[1]日々のチェックポイント
 36協定に定めた内容を遵守するための日々のチェックポイントとして、以下の2点が挙げられます。

  1. 「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働が、36協定で定めた時間を超えないこと。
  2. 休日労働の回数・時間が、36協定で定めた回数・時間を超えないこと。

 まず1については、「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働の時間数を管理していく必要があり、特に「1年」は、例えば9ヶ月目に年間の時間外労働の上限を超えているといった事態にならないように、起算日からトータルで集計し、管理しましょう。2については、36協定で定めた内容を確認し、その内容の範囲で行う必要があります。

[2]特別条項を適用した場合のチェックポイント
 特別条項を適用した場合の36協定に定めた内容を遵守するためのチェックポイントとして、以下の3点が挙げられます。

  1. 36協定に記載した限度時間を超えて労働をさせる場合における手続に基づいて、手続きを行っていること。
  2. 特別条項の回数が36協定で定めた回数を超えないこと。
  3. 月の時間外労働と休日の合計が、その2〜6ヶ月の平均をとって1月当たり80時間を超えないこと。

 1については、特別条項に該当する月ごとに36協定に記載した手続きを行う必要があります。例えば、「過半数代表者に対する事前申し入れ」とした場合、会社が従業員の過半数代表者へ事前に書面等で申し入れることが求められます。
 2については、特別条項の回数は最大6回までとされているため、例えば36協定において「6回」と定めた場合、従業員ごとに6回を超えないように管理することが求められます。実務上はこの点がもっとも重要なポイントであると言えるでしょう。
 そして、3については、例えば特別条項を1ヶ月90時間と締結しており、当月は90時間の範囲に収まっていたとしても、2〜6ヶ月平均で時間外・休日労働を月80時間以内に収めなければならない絶対的な上限の規制が存在します。たとえば当月に90時間の時間外労働があった場合には、その翌月は70時間以内に収めるように業務を調整することが求められます。また、この2〜6ヶ月の平均は、36協定の期間にしばられることなく、前後の36協定の期間をまたいだ期間も適用されます。36協定を2023年4月1日から2024年3月31日までの1年間で締結していたとしても、3ヶ月平均は2023年4月〜6月のみならず、2023年3月〜5月でも確認する必要があります。

 上記のほか、特別条項を適用した従業員に対して、会社は36協定に定めたいわゆる「健康福祉確保措置」を実施し、この実施状況に関する記録を36協定の有効期間中および有効期間の満了後3年間保存する必要があります。対象になったときは必ず実施するとともに、記録を残しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




今後の最低賃金引き上げの方向性2023/05/16
2024年4月から変わる労働条件の明示ルール2023/05/09
今後多くの制度変更が予定される障害者雇用2023/05/02
今年も4月より始まった「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン2023/04/25
就職氷河期世代の募集・採用と助成金2023/04/18
活用したい厚生労働省の「働き方改革を進めるためのお役立ちリンク集」2023/04/11
大幅な引上げとなる障害者の法定雇用率2023/04/04
2023年4月より50万円に増額される出産育児一時金2023/03/28
2023年度の雇用保険料率と雇用保険の給付概要2023/03/21
衛生委員会をより効果的な場にするためのポイント2023/03/14
3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率2023/03/07
2024年4月から適用となるトラック運転者の時間外労働の上限と改善基準告示2023/02/28
従業員が退職するときの申出時期と年休の取得2023/02/21
36協定にまつわるよくある質問2023/02/14
人材開発支援助成金に創設された「事業展開等リスキリング支援コース」2023/02/07
民間企業の障害者実雇用率 過去最高の2.25%の実績2023/01/31
2023年4月から中小企業も対象となる月60時間超の割増賃金率引上げへの対応2023/01/24
年次有給休暇の取得義務にまつわるよくある質問2023/01/17
36%の企業が同一労働同一賃金問題に未対応2023/01/10
常時雇用労働者の定義・カウント方法2023/01/03
2023年1月から変更となる協会けんぽの申請様式2022/12/27
12月2日より拡充されたキャリアアップ助成金2022/12/20
12月以降の雇用調整助成金と小学校休業等対応助成金の内容2022/12/13
マイナンバーカードで可能になった雇用保険の失業認定手続2022/12/06
定期健康診断以外の健康診断が必要となる労働者2022/11/29
企業の年間休日数の平均は減少し107.0日に2022/11/22
年次有給休暇の8割要件を計算する際のポイント2022/11/15
12月より変わる事務所の照度とパソコン作業等を行う際の作業管理のポイント2022/11/08
協会けんぽの被扶養者資格の再確認2022/11/01
今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン2022/10/25
年休の計画的付与制度と運用時の留意点2022/10/18
健康診断実施後のフォローと監督署によく指摘される事項2022/10/11
就業規則を変更した際の届出に係る適切な手続き2022/10/04
2022年度の労基署による不払い残業代の是正指導 約65億円2022/09/27
30円以上の大幅引上げとなる2022年度の最低賃金2022/09/20
2022年10月より対応が必要な人事労務に関する各種改正点2022/09/13
深夜業に従事する従業員に実施が必要な健康診断2022/09/06
2021年度に13.97%まで上昇した男性の育児休業取得率2022/08/30
アルコールチェックの義務化と直行・直帰時等の取扱い2022/08/23
改めて確認したい管理監督者の労働時間の把握義務と割増賃金の支払い2022/08/16
短時間労働者の社会保険加入における賃金の考え方2022/08/09
労働者301人以上の企業が対象になった男女の賃金の差異の情報公表2022/08/02
増える精神障害の労災請求件数 求められるハラスメント対策2022/07/26
産後パパ育休の申出を1ヶ月前までとするための労使協定2022/07/19
4社に1社が70歳まで働ける制度を導入2022/07/12
骨太の方針2022に示された人事労務に関するトピックス2022/07/05
増加に転じた労災の死亡者数と休業4日以上の死傷者数2022/06/28
労働者死傷病報告を提出しなければならないケースとは2022/06/21
8月頃に社会保険適用拡大により年金事務所から届く通知とは2022/06/14
高齢者が安心・安全に働ける職場環境づくりを支援する補助金2022/06/07
スマホで年金額試算ができる「公的年金シミュレーター」の試験運用を開始2022/05/31

ページトップへ