人事労務ニュース
文書作成日:2024/12/10
長時間労働者に対する医師の面接指導は、過重労働対策として重要な取り組みです。実際に、この面接指導を実施するにあたり、制度の内容、面接指導の実施後に行うべき対応について押さえておく必要があります。以下では、この内容を確認します。
[1]医師による面接指導制度とは
労働時間の管理は長時間労働にならないように対応することが最も重要ですが、対応を進めていても、状況によっては長時間労働が発生することがあります。そのため、長時間労働が発生した後には、医師による面接指導の確実な実施が重要となります。
この面接指導は、長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者に対し、行われるものです。医師が面接をすることにより、その労働者の健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講じることになります。
面接指導の実施が求められる者は、以下の通りです。
- 労働者(裁量労働制、管理監督者含む)
- 1ヶ月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり面接を申し出た人
- 研究開発業務従事者
- 1の基準に該当する人または、1ヶ月100時間超の時間外・休日労働を行った人
- 高度プロフェッショナル制度適用者
- 1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合のその超えた時間について1ヶ月100時間を超えて行った人
対象となる人を確実に洗い出し、医師による面接指導を実施していく必要があります。
[2]事後措置の実施
面接指導の実施後、企業は実施した医師から事後措置に関する意見を受領し、就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少等、必要な措置を講じます。
また、面接指導により労働者のメンタルヘルス不調を把握した場合は、必要に応じて精神科医等と連携をしつつ対応を図ることが求められます。
働き方改革において、産業医の位置付けが大きくなり、産業医を選任した事業所では、時間外・休日労働時間が1ヶ月80時間を超えた労働者の氏名やその労働者の1ヶ月80時間を超えた時間に関する情報等を、産業医に提供する必要があります。この機会に、面接指導の実施や情報提供の流れが適切にできているか、確認してみるとよいでしょう。
■参考リンク
厚生労働省「過重労働による健康障害を防ぐために」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。